先日、米・サウスカロライナ州チャールストンで白人至上主義者の若者が、黒人の奴隷解放運動とかかわりの深い黒人中心の教会で、同教会のクレメンタ・ピンクニー牧師を含む黒人9人を射殺した。この事件とアメリカの人種問題については、できればまた後日言及したいと思うが、今回は、アメリカ社会における銃文化について書こうと思う。
アメリカは、世界的に見ても異様な銃保持率及び銃への愛着を持った社会である。銃は、アメリカ社会のあらゆる側面に浸透し、子供用の玩具の銃も異様なものではない。だが、全てのアメリカ人が銃に執着している訳ではない。特に過去十数年に渡り増加を見せる銃による大量殺人事件を受け、民主党支持者を中心に銃規制を強く要望する者も少なくない。Pew Research Centerの2013年調査によれば、民主党支持者の79%が、銃規制強化により銃による大量殺人の死亡率を減少させられると考えている。彼らにとって、銃保持の権利を『自由』の基準としているようなアメリカ社会は病んでいるものなのだ。一方、保守派を中心とした共和党支持者は、銃保持の権利をアメリカ合衆国憲法によって与えられた基本的人権と考えており、どの様な形であれ、全ての銃規制はこの基本的人権を侵害し、アメリカという国家の根本的精神である『自由』を踏みにじる行為だと見る者が多い。